社会へ機能するビジュアルアーツ
版画はアートとデザインを結ぶ
版画は複数制作が可能な印刷技術です。文書や書籍など社会のニーズに応える情報伝達メディアとして機能する一方で、直接描くこととは異なる版を介在させた技法による独自の表現技法で「美」を伝えてきました。現代においても絵本やZINE、カードなどの雑貨、イラストレーションなどデザイン分野とも関わりながら、その領域は拡大し続けています。
本コースの面白さは、銅版画、木版画、シルクスクリーン、リトグラフの伝統的な版画技法の習得に加え、活版、リソグラフ、デジタルなど現代表現も網羅した学びにあります。その上で印刷を通して絵画からデザイン表現まで多様な選択肢から自分の方向性に応じてジャンルを選び、社会への発信を実践していく自由さが魅力です。
Feature
特徴
専門学修による高い表現力
1年次から銅版画?木版画?シルクスクリーン?リトグラフの技術を基礎からしっかり習得します。そこからさまざまなフィールドを横断するカリキュラムが展開、自身の表現方法を見つけ、高い完成度へと導いていきます。
個々の資質にアートとデザインをつなぐ多様な展開
絵画にとどまらず、印刷メディアとしての側面を生かし、デザインも取り込んだイラストや絵本、 ZINE、アートブックなどさまざまな表現に挑戦し、自身の可能性を広げます。また小品販売やワークショップなど学びが社会で機能することも体験し、将来を見据え定めていきます。
社会へつながる汎用力
絵を描く他に、版を作る?刷るといった作業が加わるところに版画の面白さがあります。この職人的な要素は、表現を支える下地となるだけでなく、段取りや計画性といった物事を俯瞰的に考え、実行する能力へとつながります。版画で培った力は、アート以外のさまざまな仕事にも広く応用?展開できます。
Curriculum
授業紹介
版画をアートとデザイン両面から学び、自身の表現を展開させていきます。版画(印刷)が社会に果たしてきた役割や魅力を理解しながら、印刷メディアによって自身が何を表現したいのかを模索し実践していきます。
1年次
基礎を学ぶ
デッサンや彫塑などで基礎造形力を身に付け、版画の4つの基礎技法(銅版画、木版画、シルクスクリーン、リトグラフ)も学び始めます。一方で、さまざまなメディア表現も学修し、幅広く表現方法や素材に触れていきます。また、美術史などの講義を通して美術への理解も深めます。
〈 講義 〉 | 〈 演習 〉 | 〈 実践 〉 | |
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前期 |
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2年次
フィールドを広げる
イラストレーション制作、アートブック制作、2D/3DCGのデジタル演習など、印刷や複製をキーワードに、版表現の可能性を知り、自身のフィールドを広げていきます。また、卒業後の生き方について考える学びも始めます。
〈 講義 〉 | 〈 演習 〉 | 〈 実践 〉 | |
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前期 |
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後期 |
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3年次
応用し展開する
紙漉きによる素材研究や文芸学科と協働の画文集制作などを通じ、より深く表現について思考し制作します。展覧会やワークショップの企画?運営、ポストカードや名刺、Tシャツなどの商品開発によって社会との接続を図り、卒業後のビジョンも具体的に考えていきます。
〈 講義 〉 | 〈 演習 〉 | 〈 実践 〉 | |
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前期 |
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後期 |
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4年次
4年間の集大成
自らの進路を決定し、これまで培った力の総力をかけ、集大成としての卒業制作に臨みます。3年次までの学修から版技法を使って自身が何を社会に発信したいのか、テーマを定め、高い完成度を目指して制作します。
? | 〈 演習 〉 | 〈 実践 〉 |
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前期 |
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後期 |
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活動 Pick Up!
公募展での受賞多数!
毎年さまざまな公募展で受賞や入選を果たしています。例えば2023年度全国大学版画展では優秀賞、町田市立国際版画美術館賞、国立印刷局理事長賞を受賞し、芸工大の版画のレベルの高さが証明されました。
大楮祭り!
自然豊富な大学敷地内で自生している楮を刈り入れ、和紙を原料から作り上げる大イベントです。刈り取った楮をドラム缶に入れて、薪を燃やし蒸し上げる作業の傍らで山形伝統の芋煮会も行います!
版画で社会と繋がるワークショップ
トートバッグプリントや活版によるカード印刷など、様々なイベントで版画コースの学生たちが活躍しています。量産が可能な印刷術である版画ならではの特性が人々との繋がりを構築し、授業での学びが社会と直結する機会となっています。
2D?3D CG演習(デジタルプリント)
版画は印刷術として常に先端技術を取り入れ進化しています。デジタルプリントも歴史的文脈では「版画」なのです。本演習ではデジタル表現の基礎を身に付け、今日の版表現を模索します。
Career
進路
Professor
教員紹介
中村桂子 コース長
過去から未来へ 版画が世界にできること
芸術には、国や言語の違いを越えて思いを伝える力があります。そのなかでも複数生産することが可能な版画=印刷は、宗教の布教、情報の共有、浮世絵木版画がヨーロッパに渡り、日本文化が西洋のアートやデザインに大きな影響を与えたように、社会と密接に関わり続けてきました。現代においても絵画作品をはじめ、本や漫画、Tシャツ印刷などのファッション、便箋や封筒などの生活雑貨の印刷に至るまで、実に幅広いシーンで版画=印刷は人に感動や豊かさ、楽しさを提供しています。
あなたのアイデアをデザインし、印刷というモノ作りを通してしっかりと形にすることは、あなたが社会とどう関わりたいのかを探っていくことでもあります。 災害や、病い、政治の対立など混迷の現代にあって、人が「つながる」「関わる」ことが強く意識されるようになりました。版画=印刷はそのなかで常に人の生活や社会のニーズに寄り添いながら多くの人に喜びを提供できるメディアなのです。