[最優秀賞]
吉田遥香|見えて、見えないもの
福島県出身
山本コージゼミ
写真
福島県には、震災、原発事故後から「モニタリングポスト」という空間放射線量測定装置が多くの場所に設置されている。震災から14年経ち復興が進む中で、記録、ないしは爪痕として人々の生活の近くにある。そんな現状になんとなく慣れているような自分と、風化していく人々の記憶と向き合うための作品。この作品を見て、怖いと思っても、嫌だと感じても、見た人の記憶のどこかに残ってくれることが、復興への一歩だと私は思う。
山本コージ 教授 評
吉田遥香の卒業制作は、アメリカの思想家であるラルフ?ウォルドー?エマーソン(Ralph Waldo Emerson/1803年-1882年)の「恐れは常に無知から生じる」という言葉を写真というメディアで可視化し、私たちに問いかけている。自身が切り撮った作品たちがまた「恐れ」を生んでしまう可能性を含んでいるにも関わらず。彼女は強い決意をもって72点の写真たちに赤い「数字」という目を与え、問いかけているのである。
「モニタリングポストがある風景」
その非日常はいつしか時間の経過を「風化」という言葉に置き換えられ、日常と化していることに彼女は違和感を覚えた。研究を進める過程で、その風景の存在すら知らない日本人が現実にいることにも驚くに至ったのである。
写真表現から受ける「作者のメッセージ」をどう着地させるか?傍観者をどう誘導するか?の議論は常に行われた。吉田遥香はあえて「認知」を最大の目的にしたのである。
その「赤い目」は、作品を通して議論の機会を与えてくれるのは間違いないだろう。
どう捉えるかは傍観者に委ねることにした吉田遥香の選択は正しかった。だからこそ今年の映像学科卒業制作 最優秀賞に選ばれたのだと確信している。
最優秀賞おめでとう。卒業式のコスプレが楽しみである。