[最優秀賞]
猪熊怜|pop out
新潟県出身
安達大悟ゼミ
H147×W260×D80 mm 銅
クロッキーで描くと独特の強弱により実物よりも躍動感が生まれる。生活の中にある実用品をクロッキーに起こし、立体物として金属で表現。その物に新た価値を与え、視覚的な楽しさを演出する。
安達大悟 准教授 評
金属工芸の製品は、固い、冷たい、艶などの特性をいかし、普遍的で美しいデザインを高い精度で成形し、仕上げられているものが多い。彼も3年生まではそういった世界を目指していたが、制作を進める中で金属工芸の可能性はそれだけではないことに気が付く。機能性よりも視覚的魅力を打ち出すために、卒業制作は始まった。「描いたクロッキーを金属で三次元化させる」をテーマとした本作は、クロッキーと金属という特性が異なる要素を融合させ、新たな工芸の可能性を示している。工業製品をクロッキーによって緩やかな素描表現とし、それを三次元化させる際は立体感に独特な解釈を与えたことで、不思議な感覚に誘いながらもバランスの取れた作品へと仕上がった。また、鍛造による成形、接合、仕上げなど、随所に加工の工夫が施され、軽やかでありながら妥協のない仕事となっている。 卒業後は、鎚起銅器の無形文化財を保持する工房で職人としてスタートする。芸術大学で培った美意識と、本場の力を融合させ、モノの魅力を追求し続けてほしい。