鈴木薫子|家事代?業にみる家事労働の現代的様相
宮城県出身
松田俊介ゼミ
本研究は、家事代行業を通じて家事労働の価値を再考し、ジェンダーギャップ解消の可能性を探ることを目的としている。日本では家事が「女性の無償労働」として扱われることが多く、OECD(経済協力開発機構)の調査によると、男女間の無償労働時間の差は加盟国中最大である。この現状は、家事労働の社会的評価の低さと、女性の社会進出を妨げる要因となっている。その中で、家事代行業は家事を「有償労働」として認識させる役割を果たしており、近年市場が拡大している。経済産業省のデータによれば、家事代行業の企業数と従業者数は2012年度から約2倍以上に増加している。本研究では、家事代行業の現状を把握し、その社会的影響を考察するため、歴史的背景の調査や、企業や利用者に対してインタビューを行った。
家事代行業の歴史的背景として、大正時代に登場した「派出婦会」が挙げられる。派出婦は家庭内労働の需要に応える重要な存在であったが、低賃金や過酷な労働条件、社会的地位の低さといった課題を抱えていた。このような労働環境の問題は、現代における家事代行業にも通じる部分がある。インタビューの結果、家事代行業者が提供する主なサービスは掃除、料理、整理整頓であり、特に共働き家庭や高齢者世帯で人気があることが分かった。利用者は家事負担の軽減や時間の有効活用を求めており、家事代行業が生活の質向上に寄与していることが確認された。一方で、スタッフの人手不足や労働環境の改善が課題であることも明らかになった。家事代行スタッフの多くはパートやアルバイトで構成されており、待遇の向上が必要である。
今後、家事代行業は少子高齢化や女性の社会進出の加速に伴い、さらなる需要の増加が見込まれる。一方で、利用者層の拡大には価格の見直しやサービスの柔軟性向上が求められる。また、男性スタッフの参入促進や外国人労働者の活用により、業界全体の人手不足を解消することも重要な課題である。
家事代行業は、家事労働を「社会に欠かせない労働」として再評価する契機となる可能性を秘めている。労働環境の改善や社会的認識の向上を進めることで、家事を公平に分担し、ジェンダー平等を実現する社会の構築に寄与できるだろう。