歴史遺産学科Department of Historic Heritage

吉濱岳|学問における主観性と正確性
岩手県出身
志村直愛ゼミ

 実物からイラストに移り変わるごとに、保有する情報量自体は少なくなっている。特にイラストに関しては、本論で述べた様々な情報表現方法の中でも最も少ないと言っていいだろう。しかしながら、それと同時に、論文の流れに相応しい内容であるという条件下の元、どんな手法よりも見やすく簡潔な資料として機能していることがわかる。イラストを制作する意図と価値はこの部分である。技術が発達し、写真という非常に便利な機材が使用されるようになり、対象の情報化は以前に比べとても簡単になった。しかしながら、写真が内包する情報は性質上玉石混交である。(写真にもしっかりとした利用価値が存在することに留意)。加えて保持している情報量が多すぎるため、伝えたい情報の意図がしっかりと伝達できるかという問題も生じる。一方で、伝達したい内容に簡略化され、最適化した絵図は、情報量は減るものの、第三者に摩擦なく伝えることができる。資料としての利用価値に関して、写真にはできない表現の追求が可能である。写真は誰でも撮ることができ、実物に忠実と考えられる。一方、制作する絵図は主観が入り、正確とは言えず、手間も技術もかかってしまう。しかしながら、確かにイラストには制作するだけの理由と価値が存在する。第三者に情報を正確に伝えるという目的を持つ研究者ほど、イラストに対しての理解と思考、さらに技術が求められる。内包する情報量としては、多い順に上から(図1)
?実物
?写真
?実測図
?イラスト
であると述べた。まず現物が存在し、それを二次元(平面)に押し込む。さらに、特定の要素を抽出し実測図を制作する。そして、イラストレーションは実測図的要素をさらに細分化し特定の事象に着目した描き方をしている。
 学問において、実測図は写真に包括され、イラストは実測図に包括されるということが言えるのである。言い換えるならば、実物?写真?実測図?イラストはそれぞれ独立した媒体ではなく、数直線的に見て延長線上の存在であると言える。よってこれらの関係性?立ち位置をベン図で表せる。デッサンはそもそも資料としての分野ではないことが見て取れる。

1. オリジナル情報の変遷