青柳凜|混合技法における耐光性の比較-テンペラ絵具と油絵具、アキーラと油絵具の併用作品を対象に-
山形県出身
中右恵理子ゼミ
混合技法とは、一つの作品の中に複数の素材や描画材を用いたものを指し、主にテンペラ絵具と油絵具を交互に重層させていく技法のことをいう。アキーラとは、2006年に販売を開始した株式会社クサカベの製品で、水性アルキド樹脂を展色材とした絵具であり、油絵具との併用による混合技法も想定している。
本研究では、テンペラ絵具と油絵具の混合技法、アキーラと油絵具の混合技法を取り上げ、両者の耐光性に着目することとした。テンペラ絵具と油絵具の併用作品、アキーラと油絵具の併用作品を模した試料を光劣化させ、実験前後の色変化の差や試料ごとの違いを明らかにすることを目的とした。
実験では、①テンペラ絵具単体の試料、②アキーラ単体の試料、③テンペラ絵具と油絵具を併用した試料、④アキーラと油絵具を併用した試料を各3個、計12個作成した(図1)。試料作成後、写真撮影、色差計を用いた測定を行い、24時間×63日間UVランプの下に設置した。紫外線照射終了後、写真撮影、色差計を用いた測定を行い、比較考察を行なった。
実験の結果、①から④すべて目視ではほとんど変化している様子は見られなかった(図2)。しかし、色差計測定結果から僅かな明度の低下と、黄変が確認できた。明度の低下については、紫外線の影響で黒色化したと推測する。黄変については、試料に用いた乾性油の酸化重合の過程で黄変するという性質が関係しており、光の影響によるものではないと推測する。②の明度の低下は、光が当たることで変色するアキーラの性質に基づくと考察する。
実験結果全体を通して、テンペラ絵具と油絵具の混合技法作品、アキーラと油絵具の混合技法作品では、前者の方が僅かに黄変が進行しており、後者の方が明度が低下していた。しかし、色差計測定結果での数値差は僅かであり、どちらの方が変色が起こりやすいという明確な結果を得ることはできなかった。実験では、エネルギー強度の高いUVランプを用いたものの、照射期間が約2ヶ月と短期間であったため、見られた変化はごく僅かであったと考えられる。今後は、実験期間の調整が課題となる。
1. 試料①?④ 実験前
2. 試料①?④ 実験後