文化財保存修復学科Department of Conservation for Cultural Property

成瀬由拡|シルバーポイントの描画材料としての機能 ー検証結果より技法の理解へー
岐阜県出身
中右恵理子ゼミ

 本研究は、シルバーポイントという西洋絵画の古典的なドローイング技法に焦点を当て、その現代における使用状況や理由を検証することを目的としている。シルバーポイントは古典技法の中でも貴重な役割を果たしているにもかかわらず、現代ではあまり知られていない技法である。筆者は「絵を描く技術」の追求からこの研究を始め、高校時代のクロッキーやドローイング技術の学びを通じてシルバーポイントに興味を持った。大学で学ぶ中で、ドローイング技法の重要性を再認識し、特にシルバーポイントに着目した。古典技法についての情報は豊富であるが、シルバーポイントに関する情報は少なく、その背景を探ることが重要だと感じた。
 研究方法として、シルバーポイントと鉛筆を用いて古典的な技法と現代的な手法を再現し、技術理解を深めることを目的とした。シルバーポイントが描画材料としての役割を果たすかを検証し、線の特徴や観察結果からその使用されない理由を明らかにした。検証結果から、シルバーポイントは準備が必要で扱いにくい材料であることがわかった。線が薄く、消しても跡が残るため、再描画が難しいという課題がある。これらの要因が、現代においてシルバーポイントが使用されていない理由と考えられる。また、手間とコストがかかるため、使用の必要性が低下し、情報が途絶えたことも影響していると考える。多くの人が西洋絵画で重要な部分として絵具に着目することが多いが、筆者は絵画の基礎である下描き、ドローイングに使われていたシルバーポイントが一番重要であると考えている。
 皆が知っているであろう油絵、水彩画、テンペラ画、モザイク画、フレスコ画などの西洋の古典技法は今でも多くの人に利用され、なじみのあるものとして認識されている。筆者はこの研究を通して新たな発見、知識などを学ぶことができた。この学びは今後の筆者自身にとって新たな技術の進歩につながる可能性もあるだろう。
 筆者は古典的な方法での再現に試行錯誤を重ね、シルバーポイントの特性を深く理解した。シルバーポイントはかなり難易度の高い技術であり、その特性を学ぶことは今後の技術の進歩につながる可能性がある。