求められた女性像―大正?平成の婦人雑誌『主婦の友』を題材に―
栗田芽生
宮城県出身
謝黎ゼミ
目 次 研究目的、調査方法/こうあってほしいと願われた妻の姿/家から外へ出る女性たち
本論では大正時代から平成時代にかけて求められた女性像はどのようなものであったかを時代の変遷と共に解明していくことを目的とする。その変遷を追っていくために、大正~平成という長期で出版していた雑誌『主婦の友』を題材とし、特集が組まれていた記事や「理想とされた女性」を題材とされた記事を集中的に抽出していき、時代がどんな女性を求めたのか、その女性像に変化があったのかを見ていく。
1917年~1936年に『主婦之友』で取り上げられた妻像はまさに「夫による、夫のための、夫により都合のよい妻」だろう。少なくとも『主婦之友』という雑誌が女性に、夫を持つ妻に求めたのは夫と家を「支える」ではなく「従う」女性であったと解釈する。
1980年代になると夫にとにかく従順にという考え方は薄くなり、女性がどんどん家から社会へと出ていく時代である。男女同権が叫ばれ、『主婦の友』でも活発な女性の姿が多く取り上げられていく。
2008年に取り上げられた妻は夫に大人しく従う姿は見られなくなった。家の中にあっても自分のやりたいことをやって充実した生活を送ろうと努力している。
1945年の記事は、男性が戦へと送られ国内の労働力の不足に伴い女性の労働力を動員せざるを得ない状況であることが伺える。
1980~1985年の記事の中で才女と讃えられた女性は仕事と家事の両方を両立しているが故に才女と紹介された。子育てをして、仕事もする。心休まることはあるのだろうか。
2000年~2008年の記事では夫から許可や理解がなければ働けないという1980年代と同じ悩みが付きまとっている。さらに2020年9月の朝日新聞記事には女性の社会的地位向上が遠いと書かれている。
婦人雑誌『主婦の友』が取り上げた女性を大まかな傾向として総合すると「従属する女性」→「活発な女性」→「どちらかと言えば家事を優先し、節約上手で、仕事もしてくれる女性」であった。