[優秀賞]
佐藤夏季|ほつれにふれる
福島県出身
岩井天志ゼミ
アニメーション
私たち生き物は、ただ生きて死んでいく。それだけで本当は充分で、素敵で、輝いている。いろいろな出会いや言葉があり、私はここまで来れました。ありがとう。そしてこれからもよろしくお願いします。次の作品も、自分のペースで創っていきます。
岩井 天志 教授 評
『ほつれにふれる』は体感するアニメーションである。
架空の微生物の誕生から死滅までを描いたその世界は観るものを時に宇宙空間へ、時に分子世界へ誘ってくれる。緻密に描かれた生物の命と私たちの命がシンクロし、動きと鼓動が重なりあい、「今此処で確かに生きている。」と細胞レベルで感じながらその世界に入り込んでしまう。アニメーションの神秘である。佐藤夏季は毎日毎日、紙に鉛筆で描き続けた。様々な思いをしながら描いた時間の集積が線となり、形となり、新しい命を生み出す。『ほつれにふれる』を観たとき自然と涙が流れたのは作り手である佐藤夏季の命を感じたからに違いない。
人間的にも作家としても大きく成長した4年間だった。
卒業後は多忙なアニメーションの制作現場で働くことになるが、きっと素晴らしい仕事をするのだろう。でも迷ったり悩んだりした時はこの作品を思い出して欲しい。宝物のような作品がつくれて本当に良かった。